ゼラニウムという植物をご存じですか?
家庭や町中でもよく見かける、可愛らしいピンク色の花をつける植物です。
名前を聞いただけではわからないけど、実物の花を見れば、おそらく多くの方がピンとくるのではないでしょうか。
園芸種として広く親しまれているゼラニウムですが、実はアロマの世界では、女性の強〜い味方でもあるんです。
今回は、そんなゼラニウムの精油について、作用や使い方を詳しくご紹介します!
1.ゼラニウムってどんな植物?
ゼラニウムは南アフリカ原産のフウロソウ科の植物です。
アフリカで何世紀もの間、傷薬あるいは悪魔払いの道具として、生活の中で利用されてきた植物です。
ヨーロッパに持ち込まれたのは17世紀頃といわれており、革製品産業が盛んな南フランスのグラース地方で、革製品のにおいを消すための香料として持ち込まれたのが栽培の発端だと言われています。
現在でも様々な香水の原料や石鹸、シャンプーとして使われています。
2.精油の特徴
ゼラニウムの精油は、花と葉から抽出されます。
バラの香りにミントや草などを混ぜたようなハーバルな香りです。
精油には、以下のような作用があります。
2-1.心への作用
抗不安作用があるゼラニウムは、心の強壮剤として役立てることができます。
過度に内向的だったり、または興奮しすぎていたり。
気持ちの揺れが大きいと感じる日に、安定した中心軸を見つけてくれる香りです
神経を鎮静させて、気持ちを穏やかに、かつ前向きになるよう背中を押してくれます。
月経前症候群(PMS)や更年期による気分の浮き沈みなど、女性特有の症状による心の不調の緩和にも有効です。
ゼラニウムの香りが心に及ぼす作用については、調査機関によって研究結果も報告されています。
「ゼラニウムの香り」にストレス緩和効果があることを検証/ユニ・チャーム(株)発表資料/2017年
ゼラニウム精油を使用した実験により、ストレス緩和作用や精神疲労抑制作用がみられたという結果が報告されています。
2-2.体への作用
ホルモンバランスを整える働きがあり、月経痛の緩和や更年期症状を緩和する作用があります。
これらの作用については、研究機関による調査結果も発表されています。
精油の香り刺激により、女性ホルモン分泌量が上昇/(社)日本アロマ環境協会発表資料/2017年
ゼラニウム精油を吸入後、唾液中の女性ホルモン量に上昇傾向がみられたそうです。女性ホルモン減少は、更年期症状や産後うつなどを引き起こすと指摘されています。
ゼラニウム精油の香りが更年期特有の症状を軽減!?/(社)日本アロマ環境協会発表資料/2018年
ゼラニウム精油を使用した実験により、更年期症状の緩和や肌や髪の潤いアップの作用がみられたという結果が報告されています。
また、血液循環を促しリンパ系を刺激する作用もあるため、むくみを緩和する作用もあります。
排卵日から月経までの間にむくみやイライラを感じやすい方におすすめしたい香りです。
このほか肝臓機能や膵臓機能を強化する作用もあります。
2-3.肌への作用
皮脂のバランスを整える作用を持ち、乾燥肌からオイリー肌まで、あらゆるタイプの肌質に利用できます。
ホルモンバランスの乱れからくるニキビや吹き出物を緩和する作用も。
また、微量ですが虫避け効果もあるので、ほかの防虫効果のあるアロマとブレンドして虫避けスプレーとして役立ててもよいでしょう。
主に、女性特有の症状の緩和に役立つゼラニウム。
可愛らしいピンク色の花も相まって、まさに女性に味方とも言えるアロマですね。
3.ゼラニウム精油おすすめの使い方
ここでは、ゼラニウム精油が持つ作用に着目した、おすすめの使い方をご紹介。
ご自身の目的別に、参考になさってみてくださいね。
3-1.レシピ1 ~心のバランスをとる芳香浴~
【レシピ】
ゼラニウム精油 2滴 + ベルガモット精油 3滴
心のバランスを取ってくれるゼラニウムの香りに、弱った心を明るき照らすベルガモットの香りをブレンド。
体から力が抜け、ホッと一息できるレシピです。
同じレシピをお風呂に入れて、全身浴をするのもおすすめです。
3-2.レシピ2 ~心と痛みをケアする足浴~
【レシピ】
ゼラニウム精油 2滴 + ラベンダー 1滴 + お湯(足首までつかる量)
心の状態にも大きく左右される月経痛。
好きな香りを嗅ぐだけで痛みが緩和する人もいるほど、月経中はデリケートな状態です。
また、冷えも大敵。
ホッと安らげる香りと温もりで、痛みの緩和に役立てましょう。
3-3.レシピ3 ~むくみ改善バスハニー~
【レシピ】
ゼラニウム精油 2滴 + パルマローザ精油 3滴 + ハチミツ大さじ2~3
月経前症候群によるホルモンバランスの乱れが原因で、体がむくみやすくなることがあります。
そんなときは、ゼラニウムと相性の良いパルマローザとブレンドしたバスハニーを試してみてください。
月経前は肌が敏感になる方もいるので、肌の炎症緩和作用があるハチミツを使用しています。
足浴での利用もおすすめです。
3-4.レシピ4 ~更年期の症状緩和に役立つトリートメントオイル~
【レシピ】
ゼラニウム精油 2滴 + フェンネル精油 3滴 + ウィートジャムオイル5ml + スイートアーモンドオイル、ホホバオイル、グレープシードオイルなどお好みの植物油
女性ホルモンのの分泌量の大幅な低下により、情緒不安定や不眠など、さまざまな症状が現れる更年期障害。
そんなときは、女性ホルモン様作用があるとされる精油で体を優しくトリートメントしましょう。
フェンネルにも、更年期障害の緩和作用があります。
本レシピでは、老化肌に良いとされるウィートジャムオイル(小麦胚芽油)を使用していますが、小麦アレルギーの方はご使用をお控えくださいね。
3-5.レシピ5 ~恋のときめきが目覚めるフレグランス~
【レシピ】
材料:ゼラニウム精油 2滴、ベルガモット精油 4滴、ローズオットー精油 3滴、パチュリ精油 1滴、無水エタノール 10ml
道具:ビーカー、かくはん棒、遮光瓶
作り方:
①ビーカーに無水エタノールを10mlはかり取る。
②精油を合計10滴落とす。
③かくはん棒でかき混ぜてから溶液を遮光瓶にうつす。
仕事で忙しく、ついギスギスしてしまう…
ロマンチックなムードなんて、最近すっかりご無沙汰…
そんな時は、ゼラニウムの香りをまとって、眠っていた感覚を呼び起こしてみてはいかがでしょうか。
女性らしさをアップさせるゼラニウムに、柔らかく包み込むような香りのローズオットーをブレンド、アクセントにパチュリを加えたフレグランスです。
合成の香水ではない植物がもたらす優しいピュアな香りは、心に癒しや心地良さをもたらしてくれますよ。
★商品紹介★
- 生活の木 有機 ゼラニウム
エッセンシャルオイル 10ml
4.使用上の注意
精油は、天然だから安全というわけではありません。
精油を安全に使うためには、次の点に気を付けてください。
・本物の精油を使う
・劣化した精油を使わない
・適度な使用にとどめる
・飲まない
・目に入れない
・火気まわりでの取り扱いに注意
・妊産婦・高齢者・病気療養中の利用は専門家に相談してから使用する
・授乳中の方、乳幼児は少量から利用する
・利用前にパッチテストを行う
大切なのは、正確な知識を得ること。
以上の注意を守って適切な使い方をすれば、精油は心身の健康に役立ち、あなたの日々の暮らしに潤いと安らぎを与えてくれることでしょう。
5.ゼラニウム外伝 ~別名・貧乏人のバラ!?~
ここまでゼラニウムの精油についてご紹介してきましたが、ここで1つ、植物としてのゼラニウムのエピソードをご紹介させてください。
実はゼラニウムには、ひどくかわいそうな別名があります。
それは、「貧乏人のバラ」。
な、なんてひどい名前なのでしょう…。
これは、ゼラニウムがバラと似た香りがするにも関わらず、バラよりもずっと安価な値段で購入できるからだそうです。
そんな不名誉な名前を付けられておるゼラニウムですが、実はヨーロッパでは、ゼラニウムに悪霊を追い払う力があると信じられていました。
魔除けとして、家の周りにゼラニウムを植える習慣があったそうです。
これは、ゼラニウムに病気やケガの治療薬として使われてきたことなどや、虫避け効果が含まれていることなどが影響していると考えられています。
現在でもこの風習の名残で、家の玄関や窓辺にゼラニウムを植える風景は多く見られます。
不名誉なニックネームをつけられながらも、魔除けや虫避けとして私たちの暮らしに寄り添ってくれるゼラニウム。
町中で見かけた際は、その健気さをそっと労ってあげましょうね。
6.おわりに
女性の強〜い味方・ゼラニウム精油のご紹介、いかがでしたでしょうか。
みなさんがすこやかな毎日を送るために、本記事がほんの少しでもお役に立てれば、とても嬉しいです★