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香水の聖地・フランスの名香たち

  • 2019年10月11日
  • 2022年3月14日
  • 香水
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読者のみなさんは、香水をつけていますか?

女性向けと男性向けの区別はもちろん
身近なお店で手に入るものや、専門店に行っても入手が難しいもの
親しみやすい香りのものや、唯一無二の独特な香りのもの
など、現在ではたくさんの種類が出回っていますよね。

これまで数多くの香水が世に誕生してきましたが、その長い歴史のなかで、伝説的な香水がいくつか存在するのをご存じでしょうか。

今回は、フランスで生まれた伝説の香水たちについて、詳しくご紹介します!

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2.香水の聖地・フランス

ゲラン、シャネル、ディオール、ランバン…

おしゃれやメイクに興味がある方なら、一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。

これらは、傑作と呼ばれる香水を生み出してきた名門メゾンですが、いずれもフランスのメーカーです。

なぜこれほどフランスでは香水産業が盛んなのか、その背景を少し紐解いてみましょう。

【16世紀】
イタリアのカトリーヌ・ド・メディシス王妃がフランス王家に嫁ぐ際、お抱えの調香師を伴っていた。

この調香師が「香り付きの皮手袋」を当時の国王アンリ2世にプレゼントしたところ、たちまち宮廷で大流行!

これがきっかけとなり、革産業が盛んだった南フランスのグラース地方は、16世紀以降、革製品から香水へと主要産業を次第にシフトしていく。

【17世紀~18世紀】
当時の人々はあまり体を洗わなかったので、香りのするポマードやにおい袋を体や髪、衣服につけることで体臭をごまかしていた。
当時の国王ルイ14世は「世界一すてきなにおいのする国王」と呼ばれるほどの香り好き。

ベルサイユ宮殿では、毎日違う香りをまとうことがエチケットといわれるほど、香りを付ける習慣が大流行になる。
調香師という肩書きが現れたのもこの時代。

【19世紀】
イギリスから合成香料がもたらされたことで、香水を工業的に生産することが可能になる。
以来、フランスの香水文化は産業として急速に発展し、技術も進歩していく。

現在、グラースは香料などの一大生産地として、フランスの香水産業の収益の50%、全世界の収益10%を占めるという、かなりの規模の収益をまかなっています。

フランス国王をはじめとする香りを愛するお国柄と、グラース地方という香水産業の根幹を支える土地があったことで、フランスの香水産業と文化は発展してきたのですね。

 

3.フランスが生んだ伝説の香水たち

ここでは、フランスのメーカーから生まれ、今なお高い人気を誇る伝説的な香水たちをご紹介します。

作出にまつわるエピソードも併せてお楽しみください◎

N°5 /シャネル (CHANEL)

【基礎データ】
作出年:1921年
調香師:エルネスト・ボー
タイプ:フローラル アルデヒド

【香りの特徴】
トップノート:アルデヒド、ベルガモット、レモン、ネロリ
ミドルノート:グラース産ジャスミン、ローズドメ、ミュゲ、アイリス
ラストノート:ベチパー、サンダルウッド、バニラ、アンバー

「ドレスのように人の手から生まれた香り。ローズでもミュゲでもない、複雑な香りがほしいの」

革新的な香水を目指していたガブリエル・シャネルは、調香師のボーにこのように依頼しました。

彼は、それまでの定番だった調合をあえて崩し、アルデヒドを過剰に加えることで、シャネルの要望通りの香水を誕生させました。

女優のマリリン・モンローが、

「寝るときに身につけるのはこの香水だけ…」

と答えたのは、あまりにも有名ですね。

 

★N°5については、こちらの記事も併せてどうぞ★

N°5 (シャネルの5番)「女性の香りがする、女性のための香り」

 

N°5  CHANEL パルファム

 

シャリマー /ゲラン  (SHALIMAR/Guerlain)

【基礎データ】
作出年:1925年
調香師:ジャック・ゲラン
タイプ:オリエンタル パニリック

【香りの特徴】
トップノート:ベルガモット、マンダリン、レモン
ミドルノート:パチュリ、ナルシサス、バニラ、アイリス
ラストノート:バニラ、ベンゾイン、ペルーバルサム、レザー

シャリマーとは、サンスクリット語で「愛の殿堂」を意味します。

この香水は、17世紀頃の実話を基にした、インドの伝説をモチーフに作られました。

インドを代表する建造物「タージマハル」が作られるきっかけとなった、王と王妃の愛の物語です。

その伝説に感銘を受けたゲランが、香水「ジッキー」のボトルに合成香料エチルバニリンを流し込んだことから、その香りの輪郭が完成したと言われています。

 

★シャリマーについてはこちらの記事も併せてどうぞ★

香水・シャリマーについて ~インドの伝説から生まれた名香~

 

シャリマー  オーデパルファム

アルページュ /ジャンヌランバン (ARPEGE/Lanvan)

【基礎データ】
作出年:1927年
調香師:アンドレ・フレイス・ポール・ヴァシェ
タイプ:フローラルアルデヒド

【香りの特徴】
トップノート:アルデヒド、ベルガモット、ネロリ、ピーチ

ミドルノート:ジャスミン、ローズ、ミュゲ、イランイラン
ラストノート:サンダルウッド、バニラ、チュベローズ、ベチパー

アルページュは、ランバンが愛娘の30歳の誕生日を祝うために、調香師に依頼して作られた香水です。

ランバンは2人の若い調香師に調合の一切を任せ、「どんなに費用がかかってもいいから、極上の一品を創ってほしい」と頼み込んだそうです。

母が娘を思う気持ちから生まれた華やかな香りは、後にダイアナ妃やグレース・ケリーなど、上流階級の女性たちにもこよなく愛されました。

アルページュ ランバンオーデパルファム

 

ファム /ロシャス (FEMME/Rochas)

【基礎データ】
作出年:1944年
調香師:エドモン・ルドニツカ
タイプ:シプレ グルマン

【香りの特徴】
トップノート:ピーチ、プラム、クミン、ローズウッド
ミドルノート:クローブ、ジャスミン、ローズドメ、アイリス
ラストノート:バニラ、オークモス、パチュリ、ベンゾインノート

1940年代はすばらしい香水がいくつも発表されましたが、ファムはその筆頭に挙げられる名香と言われています。

ロシャスが、自身の妻でありミューズでもあるエレーヌに捧げるべく、天才調香師エドモン・ルドニツカに調香を依頼した香水です。

戦時下で上質な香料が入手できなかった時代、ルドニツカをはじめとする調香師たちは知恵を絞り、あらゆるものを香料の代用品として駆使し、香りを組み立てていました

ファムも、そういった苦労のなかから誕生した香水の一つです。

 

★ロシャス ファム オードトワレ

 

ジョイ /ジャンパトゥ (JOY/Jean Patou)

【基礎データ】
作出年:1929年
調香師:アンリ・アルメラス
タイプ:リッチフローラル

【香りの特徴】
トップノート:アルデヒド、ピーチ、グリーンノート
ミドルノート:ローズ、ジャスミン、イランイラン、チュベローズ
ラストノート:サンダルウッド、ムスク、シベット

 

「世界一高価な香水」

これがジョイのキャッチフレーズです。

ブルガリアンローズ、グラース産ジャスミン、インド産チュベローズなど、最上級の材料が贅沢に使われたこの香水。

調香師アルメラスが、

「これほど天然香料をふんだんに使った香水は、贅沢すぎて市販用には作れない」

と試作中にパトゥに話したところ、

「ばかめ、香料を2倍使え。香水のロールスロイスにするんだ!」

と一蹴したという逸話が残っています。

JOY  オーデパルファム

ミスディオール /ディオール (MISS DIOR/Christian Dior)

【基礎データ】
作出年:1947年
調香師:ポール・ヴァシェ
タイプ:シプレ フローラル

【香りの特徴】
トップノート:ガーデニア、ガルバナム、クラリセージ
ミドルノート:ジャスミン、ネロリ、カーネーション、ローズ
ラストノート:パチュリ、オークモス、ラブダナム、サンダルウッド

 

ディオールは1946年にメゾンを立ち上げましたが、初めてショーを開催したのは1947年のことでした。

ファッションショーは「まさに革命、ニュールック!」と称賛され大成功をおさめますが、その成功を後押ししたのがこの香水です。

「香水はドレスの最後の仕上げ」と考えていたディオールは、ショーの数か月前に香水会社のトップであり、友人のルイシュに香水の制作を依頼します。

ルイシュが調香師ヴァシェの協力を得て、ミスディオールは完成しました。

ディオールは、ショーで使うすべてのドレスにこの香水を振りかけただけでなく、ショー会場にもこの香水を振りまきました。

香水にかかった出費は相当なものでしたが、その宣伝効果は抜群。

ジャーナリストだけでなく一般客にも強いインパクトを与え、しばらくはショーの話題でもちきりになったそうです。

 

ミスディオールオーデパルファム

 

4.1950年以降に生まれた傑作の香水たち

これまで1920~1940年代に生まれた香水を中心にご紹介しましたが、1950年以降も素晴らしい香水はたくさん生まれています。

1957年:ランテルディ/ジバンシィ
1961年:カレーシュ/エルメス
1977年:オピウム/イヴ・サンローラン
1985年:プワゾン/クリスチャン・ディオール など

今後はどんな伝説がフランスから生まれるのか、楽しみですね★

 

5.香水の付け方ハウツー

香水初心者の方、付け方がわからない方向けのコンテンツも配信しております。
よかったらご参考くださいね!

 

 

おわりに

フランスが生み出した名香たちの物語、いかがでしたでしょうか。

作出までのエピソードを知ることで、香りを身にまとう時の気分まで変わってきそうですよね。

本記事が、フランス生まれの名香たちを、より一層楽しむきっかけになればとっても嬉しいです★

 

★本記事の参考文献はこちら★

フォトグラフィー香水の歴史/ロジャ・ダブ/原書房/2010

フォトグラフィー世界の香水/マリ・ベネディクト・ゴーティ/2013

フランス香水伝説/アンヌ・ダヴィス/原書房/2018

 

 

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