本日ご紹介するのは、ベチバー精油。
オリエンタル調や、ウッディ調の香水のベースノートとして使われることも多いので、香水好きな方にも馴染みのある香りではないでしょうか?
他の香りとブレンドされることが多く、香りの脇役的存在・・・というイメージが強いベチバーですが、奥深い魅力をたくさん持っている精油です。
今回はそんなベチバーを詳しくご紹介していきます!
1.ベチバーってどんな精油?
学名 | Vetiveria zizanioides |
植物名(和名) | ベチバー(べチベル) |
科名 | イネ科 |
種類 | 多年草 |
主な産地 | インド南部、ハイチ、インドネシア、マダガスカルなど |
抽出部位 | 根 |
抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
特徴的な化学成分 | ベチベロール |
香りの特徴 | ウッディで土のような深い香り |
有用性 | 強壮、刺激、消毒、収斂、防虫、鎮静、抗うつ、催淫 |
ベチバーは、インド南部やハイチ、インドネシアなどの熱帯地域で多く見られる野草で、レース細工のように密生した細い根をもっていて、その根は地下深くまで伸びています。
そのため、熱帯地域での豪雨による斜面の土砂崩れをベチバーの根が防いでくれる、という目的もあることから、熱帯地域でよく見られるようですよ。
植物学上では、シトロネラ、レモングラス、パルマローザと同じイネ科の植物で、葉っぱの姿もそれらの植物ととても似ています。
ですが、香りは全く違っていて、レモングラスなどにあるハーバルな香りはベチバー精油には一切無く、とっても深く土のような香り。
なぜかというと、精油の抽出部位が違うからなんですね。
レモングラス、パルマローザなどは葉から精油を抽出しますが、ベチバーは根っこの部分から精油成分を抽出します。(ベチバーの葉はほぼ香りがありません)
そのため、土をイメージさせる個性的な香りが特徴的。
ちなみに、ベチバー精油を抽出するには一度根っこの部分を洗って乾燥させ、その後刻んでから水蒸気にあてて蒸留するので、抽出に少々手間がかかる精油です。
2. ベチバー精油の特徴
それでは、ベチバー精油が持っている効能について詳しく見ていきましょう!
体へのアプローチ
血行の悪さや冷えが気になる方は、キャリアオイルに希釈してトリートメントに使用するのがおすすめ。
体を温めたり、痛みの軽減にも役立ってくれるため、筋肉痛やコリにも良いですし、スポーツ前後のケアにも使える精油です。
体に元気を取り戻すサポートもしてくれますよ。
また、眠りを助けてくれる精油としても有名なので、「ちょっと最近体が疲れているな~」と感じる時に使えば、しっかり眠れて体も元気にしてくれる・・・頼りになる精油です!
心へのアプローチ
ベチバー精油の鎮静力はとても高く、「静寂の精油」と呼ばれることもあるくらい香りを嗅ぐとリラックスできる精油です。
ストレスが原因の抑うつや不眠、緊張状態などの場合には、気持ちを癒しリラックスさせてくれますし、興奮や怒り、ヒステリーといった時にサポートしてくれます。
また、ベチバーは根から採れる精油なので、「地に足を付ける」という効果も期待できます。
頭で考えすぎてしまい、不安になるような方にもおすすめ。
何か新しい事にチャレンジするような時に、いつも考えすぎて不安に襲われてしまい、一歩踏み出す勇気がなかなか出来ない・・・
そんな時には頭に上っているエネルギーを足元に下ろしてくれ、ポンと一歩踏み出す勇気も与えてくれるような精油です。
勢いに任せて失敗してしまう方にも、考えすぎて後悔してしまう方にも。冷静に現実と向き合い、行動できる力をサポートしてくれますよ。
また、ベチバー精油の冷静さをもたらしてくれる効果は、今までと生活環境が変わって、感情に押しつぶされそうになっている時にもおすすめ。
特に、離婚や大切な人との死別・・・など、環境の変化に加えて、大きなショックを受けた後の心を優しく支えてくれる精油です。
「冷静さ」と「落ち着き」を忘れないよう、心のサポートとなってくれますよ。
3.おすすめな使い方4選
様々な効能を持っているベチバー精油。
おすすめな使い方をご紹介しますので、是非参考にしてみてください!
感情を落ち着けたい時に
ベチバー精油の一番の特徴が、鎮静効果が高く、深くリラックスさせてくれる精油であること。
穏やか、落ち着いている、ゆったり・・・そんな気持ちになりたい時にはピッタリです。
イライラや怒り、落ち込みや憂鬱などの感情は人間誰でもが感じることですが、それらの感情のアップダウンが激しくなると、ヒステリーを起こしたり、鬱っぽくなってしまったり・・・。
そんな時に頼りになるのがベチバー精油。
ベチバーの土を思わせる落ち着く香りを嗅いでいると、荒ぶっていた気持ちがだんだんと静かに、まるくなっていくような感覚に。
怒り・イライラで頭に血が上っているような時には、スッと感情を足元に下ろしてくれ、「なんで私は今怒っているのか?」を冷静に考えさせてくれるサポートもしてくれます。
感情に任せてイライラを相手にぶつけるよりも、「自分は何が嫌なのか?」「この問題を解決するにはどうすれば良いのか?」を冷静に考え伝えられるように。
イライラや不満が溜まると感情的になりやすい方は、一旦ベチバー精油の香りを嗅いで、冷静に自分の感情と向き合ってみるのも良さそうですね。
ウッディ系の香りがお好きな方には、ヒノキとブレンドされているこちらもおすすめです。
★生活の木 ブレンド精油 ひのき時間
日本人に馴染みのある、人気のヒノキとのブレンド。
ベチバー単体の香りよりも少し爽やかにまとまっているので、軽さのある香りの方がお好みの方は是非こちらをお試しください。
ニキビやオイリー肌のスキンケアに
ベチバー精油には収れん作用があるためお肌に良く馴染みます。
オイリーで、ニキビが出来やすい方の肌にも馴染みますよ。
ただ、ベチバー精油単体だと香りが強いので、ラベンダー精油やゼラニウム精油など、殺菌作用のある他の精油とブレンドする方がおすすめです。(ベチバーの香りが大好き!という方は単体使いでももちろんOKです!)
頭皮や髪の毛の脂っぽさが気になる時には、ヘアケアとして使うのも良いですよ。
市販の無香料シャンプー・コンディショナー各50mlにベチバー精油を5滴混ぜるだけでOKなので、簡単にアロマのヘアケアが楽しめますよ~!
深く落ち着きのある香りなので、男性のスキンケアやヘアケアとしてもおすすめです。
アロマシャンプーの作り方動画を見る↓↓↓
血行が悪い時のトリートメントに
血流が悪くて冷える、体がこる・・・そんな時には是非おすすめしたい精油です。
キャリアオイルに希釈して、お風呂上がりに体のトリートメントに使うと良いですよ!
また、アロマバスとしてゆっくりお風呂に浸かる方法もおすすめ。
バスソルトにすれば、塩の保温効果でさらに体がポカポカに!
~血行アップ&リラックス!ベチバーのバスソルト~
材料:
天然塩(大さじ2)、ベチバー精油(2滴)
※精油1滴=0.05mlで計算しています。
使い方:
天然塩に精油を入れてよくかき混ぜて、お湯を入れた浴槽に混ぜるだけでOKです。
お風呂に入って温まるだけでもリラックスできるうえ、ベチバー精油をお供にするとさらに癒されるお風呂タイムになりますよ。
(ゆったりと落ち着きすぎて、お風呂の中で眠ってしまわないようにご注意ください・・・!)
ベチバーだけだと香りがちょっと濃厚すぎる・・と感じる方は、ベチバー精油を1滴減らして、他のお好きな精油を1滴追加して楽しんでみてくださいね~!
アロマバスソルトの作り方動画を見る↓↓↓
不眠でつらい時に
鎮静力、リラックス効果の高いベチバー精油。
気持ちを深く落ち着けてリラックスモードにしてくれるため、不眠で悩んでいる方には是非おすすめしたい精油です。
根から採れる精油なので、とっても深みのある香りが特徴のベチバー精油。そんなベチバーの香りに包まれながら横になっていると、体がベッドに沈んでいくように深い眠りに誘ってくれるかもしれません・・・!
夜寝る前にお部屋に香らせても良いですし、アロマバスやボディトリートメントとして使っても。
ラベンダーやベルガモットなど、お好きなリラックス効果のある他の精油とブレンドすると、ベチバー精油の深みがより引き立つので、是非お持ちの精油とブレンドして使ってみてくださいね。
ベチバーの香りがお好きな方は、ベチバー単体で使ってももちろんOKです!
4.ベチバー精油のおすすめブレンド3選
深く、土のような個性的な香りが持ち味のベチバー精油。
単体で嗅ぐと少し癖のある香りなので「少し使いづらいかも・・・?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、意外と他の精油とブレンドすると主張しすぎることなく、深み、落ち着き、重厚感といった要素をプラスしてくれます!
トップノートの軽い香りと合わせると香りの持ちも良くなりますし、フローラル系と合わせると、甘すぎない落ち着きある香りにまとめてくれます。
多くの香水でベースノートとして使われているくらい、他の様々な香りと相性が良いので、安心してブレンドを楽しんでみてください!
イランイラン精油×ベチバー精油<大人な香りのリラックスブレンド>
香りの相性もとっても良く、オリエンタル、エキゾチック・・・という言葉がピッタリくるブレンドです。
鎮静の精油であるベチバーに、リラックス効果の高いイランイラン。
夜、ちょっと肩の力を抜いてリラックスした気持ちで過ごしたい、そんな時におすすめな組み合わせです。
南国を感じさせるような雰囲気ある香りなので、カップルや夫婦で「今日は2人でゆっくり話がしたいな」というような時に香らせておくと、リラックスしながらコミュニケーションがとれる空間を演出してくれます。
キャリアオイルに希釈したもので、お互いに足や背中などをトリートメントし合うのも良いですね。
トリートメントされている側も体の疲れが癒され気持ちいいですし、している方も香りに癒されますよ~!
~イランイラン×ベチバーでリラックス!トリートメントオイル~
材料:
キャリアオイル(15ml)、イランイラン精油(2滴)、ベチバー精油(1滴)
※精油1滴=0.05mlで計算しています。
道具:
ビーカー、マドラー、遮光タイプの保存容器
作り方:
- ビーカーにキャリアオイルを量って入れる
- 1に精油を入れて、よく混ぜる
- 2を保存容器に移し替えて完成!
少し香りに明るさを出したい時には、イランイラン精油を1滴減らして、オレンジ精油やゼラニウム精油を1滴プラスすれば、少し可愛らしい雰囲気の香りに。
ちょっと贅沢にジャスミン精油をブレンドすれば、より濃厚なオリエンタルな雰囲気がプラスされ、まるで高級アジアンリゾートにいるかのような気分に・・・!
大人なリラックスタイムを過ごしたい方は、是非試してみて下さい!
アロマトリートメントオイルの作り方動画を見る↓↓↓
ラベンダー精油×オレンジ精油×ベチバー精油<いつものリラックスブレンドに深みをプラス>
リラックスブレンドで定番の、「ラベンダー精油×オレンジ精油」の組み合わせ、夜に使っている!という方も多いのではないでしょうか。
そこにベチバー精油を1滴だけ加えると、いつもの香りがほんのり大人っぽく落ち着き、奥深さを引き出してくれます。
また、オレンジ精油はトップノート、ラベンダー精油はミドルノートなので、2種類のブレンドだと香りが軽く、持続力がそんなに長くないのが少し気になるところ。
そこにベースノートであるベチバー精油を加えることで、香りの持続力もプラスしてくれますし、トップ・ミドル・ベースの3種揃ったブレンドとなるので、バランスがとっても優れた香りとなります。
ベチバー精油単体だとかなり香りが重たく感じるので、「ベチバーを入れたらオレンジやラベンダーの香りが消えしまうのでは・・・?」と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、単体だと重み・深みが強いけれど、他の精油とブレンドするとスッと脇役になってくれるのがベチバー精油のすごいところ。
表立っての主張はしないけど、奥で他の香りをしっかり支えてくれて、香りに落ち着きや奥深さを出してくれる・・・縁の下の力持ちのような存在です!
また、深みのあるベチバー精油を入れることで、オレンジ精油の爽やかさや明るさ、ラベンダー精油の優しさがより引き立つようにも感じます。
主役を引き立てるのが上手、でも印象には残る・・・そんな「名脇役」として活躍してくれますよ~!
5.使う時の注意点
かなり粘性の高い精油です。精油のボトルを傾けてもなかなか垂れてこないこともありますが、気長に待ってあげてくださいね。
おわりに
ベチバー精油、いかがでしたか?
実際のところベチバー単体での使用は私もあまりしませんが、他の精油とのブレンドするとなると、かなり頼れる精油。
香りをまとめてくれ、トップノートやミドルノートの香りをより引き立たせてくれる・・・ブレンドしてこそベチバーの本来の力が発揮されるような気がします。
まさに縁の下の力持ち的な役割ですね。
ベース系の香りは1つあるとブレンドする時にかなり役立つので、いつもシトラス系やフローラル系の香りを選びがちだな・・・という方には是非おすすめ。
一般的に精油は開封後1年以内に使い切ることが推奨されていますが、ベチバーの香りは開封して年月が経過すると、熟成されていくかのようにより深みや豊かさが出てきてくれます。
なので、長く付き合ってだんだんと変わっていく香りも是非楽しんでくださいね!
※トリートメントなど肌に付けるものとして使う場合は、安全のため開封後1年以内のものを使ってください。期間を過ぎたものは芳香浴として使うのがおすすめです。
★インセント ベチバー精油 10ml