昔あるところに、17世紀のインドの伝説に魅せられたひとりの調香師がいました。彼の名は、ジャック・ゲラン。
愛で彩られた伝説に大変感銘を受けたゲランは、その思いをひとつの香水へと昇華させました。
その香水こそ、今回ご紹介するシャリマーです。
インドに伝わる伝説を基に作られた香水・シャリマーについて、詳しくご紹介します。
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2.香りの特徴
シャリマーは、みずみずしく軽やかなのに、甘く官能的な香りが特徴です。
トップノート:ベルガモット、マンダリン、レモン
ミドルノート:パチュリ、ナルシサス、バニラ、アイリス
ラストノート:バニラ、ベンゾイン、ペルーパルサム、レザー
バニラビーンズ、美しい胸元、黒いパンプスなどのキーワードが似合う、大人の恋を連想させる香りです。
3.シャリマー作出秘話
今なお世界中で愛され続けている香水の傑作・シャリマー。
名香が作出されるまでのエピソードを、そっと紐解いてみましょう。
シャリマーの生みの親 ジャック・ゲラン
シャリマーは、フランスの調香師・ジャック・ゲランにより作られました。
彼は、化粧品メゾン「メゾンゲラン」を創設したゲラン家のひとり。
メゾンゲランは、初代(ピエール・フランソワ・パスカル)が創業した1820年代以来、女性向けの石鹸や香水を手がけており、その功績から「皇后陛下御用達調香師」の称号を授けられたこともある、超名門のメゾンです。
初代であるパスカルから、その息子たちであるエメとガブリエルに代替わりしても、メゾンゲランは変わらず女性たちから熱い支持を得ていました。
「フルール・ディタリ」、「ジッキー」などの香水を次々と発表していくなか、エメは甥っ子のジャックを助手として使い、調香師として徹底的に育て上げました。
その甲斐あり、ジャックは調香師としてメキメキと頭角を現します。
「ルールブルー」、「ミツコ」などいくつかの香水を発表した後、彼がシャリマーを発表したのは、1925年のことでした。
ジャック・ゲランが魅せられたインドの伝説
ジャックがシャリマーを作出した背景には、実話を基にしたひとつの伝説があります。
時は17世紀、ムガール帝国最盛期。
当時の皇帝シャー・ジャハーンが、のちの妃ムムタージ・マハルと出会い、すっかり心を奪われました。
皇帝は妃を愛するあまり熱病に浮かされたようになり、彼女のためにこれ以上ないほど尽くしたそうです。
2人が結婚に至ると、皇帝は特別な庭園を造るよう命令を出します。
その庭園には、水晶でできた池と噴水がいくつも配置されていました。
水晶が金よりも貴重だった当時、そのつくりは想像を絶するほど壮麗を極めたものでした。
庭園が完成すると、皇帝は「シャリマー」と名付けました。
サンスクリット語で「愛の殿堂」という意味です。
皇帝と妃はシャリマーで仲睦まじく過ごすなか、妃に14人目の妊娠が発覚。
皇帝が切に願っていた男児を出産すると、妃は亡くなってしまいました。
悲しみに打ちひしがれた皇帝は、インド中から優れた彫刻家や職工を呼び寄せ、妻の霊廟(お墓)を建造しました。
15年以上の歳月をかけて完成したこの霊廟が、インドを代表する建造物「タージマハル」です。
インドを旅行中にこのエピソードを知り、とても感銘を受けたジャック。
当時のヨーロッパが東洋ブームに沸いていたことも後押しし、この伝説をモチーフにした香水を作るべく、ジャックの挑戦が始まったのでした。
シャリマーの誕生、濃厚で芳醇な香り
シャリマーの特徴は、なんと言っても甘くて温かみのあるバニラの香り。
その香りを用いるきっかけをもたらしたのは、化学者ジュスタン・デュポンという人物でした。
ジャックは、ある日デュポンから合成香料エチルバニリンという香料を提供されます。
エチルバニリンは、ソフトでクリーミーな香気を発する人工のバニラ香料です。
ジャックは、何気なく香水「ジッキー」のボトルにエチルバニリンを流し込みました。
その瞬間、今までに嗅いだことのない、豊潤で官能的な香りがボトルから香り出したのです!
このジャックの何気ない行動が、シャリマーの香りの輪郭を形作ることになりました。
ジャックはこのあとも試行錯誤を繰り返し、1921年、ついにシャリマーを完成させせます。
そして、その4年後の1925年、発売に至ったのでした。
シャリマーの香水瓶
シャリマーのボトルは、ジャックのいとこにあたるレーモン・ゲランがデザインしました。
シャリマー庭園の泉の流れるような曲線をイメージし、水盤をバカラで表現。
青いキャップはクジャクの羽のように扇状に広がります。
ラベルにはタージマハルの大理石に刻まれた図案を再現しています。
とても東洋的なデザインで、当時の人々の東洋への憧れが伺えます。
4.シャリマーの評価
1925年に発売されたシャリマー。
発売当初から世界的なヒットとなり、発売した年に開催された装飾芸術国際博覧会で1等を受賞します。
ジャックのいとこであるレーモン・ゲランの妻が、アメリカ渡航の際に売り出したばかりのシャリマーをつけたところ、船が港についた頃にはニューヨークはこの香水の話題で持ちきりになったという逸話があります。
こうして、ニューヨークをはじめとする世界中の上流階級にも、瞬く間にその人気が広がっていったシャリマー。
現在でも年間100万本のヒットを誇り、ゲランを代表する香りのひとつとなったのでした。
5.伝説は続く ~シャリマーの妹分の香水たち~
2000年代に入り、調香師ティエリー・ワッサーによって、シャリマーを現代風に解釈した香水が次々と誕生しています。
2008年には夏に向けてシトラス系を強調した「ロー・ド・シャリマー」、2011年には軽やかさを演出した「シャリマー・パルファン・イニシャル」、2014年にはベルガモット、シトロン、ホワイトムスクが新たに加わった「スフル・ド・シャリマー」など、まさにシャリマーの妹分ともいえる香水たちです。
1925年の発売から90年以上経っても、今なお人々のひらめきの源であり続けるシャリマー。
その伝説は、現在進行形で続いているのですね。
★シャリマー オードパルファン
おわりに
ロマンチックな伝説から誕生したシャリマーのエピソードの数々、いかがでしたでしょうか。
甘くみずみずしい香りは、まさに愛を連想させる香り。
時を経てもその魅力はまったく色あせることなく、当記事ライターうりぼうもシャリマーにすっかり魅了されたひとりです。
皇帝と妃の愛に思いを馳せたり、大切な方を思い浮かべながらながら、香りを楽しんでみてくださいね。
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